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くだらんコトを書き続けます。
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 「第5回本屋大賞受賞作!」「いちばん!売りたい本」


 ハードカバーの本の帯に書かれた売り文句。


 伊坂幸太郎先生の「ゴールデンスランバー」である。


 一応、ミステリ小説っていうジャンルなのだが、読むと「思ひ出ぽろぽろ」小説っていうジャンルだなぁ、こりゃぁ~。と胸が熱くなった。




 先日、僕は約5年ぶりに高校時代の同級生と酒を飲んだ。

 「仕事、何してんの?」
 「エッ!?編集社!!!???」

 「最近、モテてるの?」
 「エッ!?そんなことないっしょ!!!???」

 「あの体育のセンセ、おっかなかったなぁ~」
 「エッ!?あのセンセ、センセ辞めてるの!!!???」

 「来月、合コンやろうよ!!!」
 「エッ!?来月合コンばっかなの!!!???」

 僕たちは、居酒屋の隣のカップルにはまったくどうでもイイことを喋りあった。


 見ず知らず、赤の他人の、モテるかモテないか、来月合コンやるかやらないか、なんて、ホンットどうでもイイことなのだ。





 「ゴールデンスランバー」は、そうゆう話だった。

 偶然、居酒屋で隣に居合わせたヤツらの話を聞かされているような話だった。


 その話は、時にはバカな思い出話であったり、時には仕事の愚痴であったり、時には合コンでの失敗談であったり…。 


 確実に赤の他人で、今後どこかでバッタリ会うことなんてほとんど無い、居酒屋の隣のヤツら。

 しかし、妙なことにそんな赤の他人と”今”出会っているのだ。

 同じ居酒屋で、同じビールサーバーから注がれた生ビールを、同じ形のビールジョッキで飲んでいるのだ。

 赤の他人が、同じ居酒屋にいる。

 それは、偶然でもなんでもなく、当たり前のコトなのだが・・・。




 「ゴールデンスランバー」の中で、「花火」の話が出てくる。

 夏の花火大会。

 空に打ちあがる花火。

 付き合って3ヶ月目のカップル。仕事中のタクシー運転手。倦怠期の夫婦。塾帰りの小学生。闘争中の殺人犯。テレビ東京で花火大会の生中継特番のロケ司会を務める高橋英樹。

 まったく関係のない人が、同じ花火を見る。

 それは、偶然ではなく、当たり前のコトなのだが・・・。


 数年後、いや、数十年後でも、「花火」を見ると、あるカップルは付き合って3ヶ月目だった頃の私たちを思い出し、あるタクシー運転手は泥酔客を乗せていたなぁと思い出し、ある高橋英樹はアノ生中継は蒸し暑くてキツかったなぁとぼやき出す。



 彼らの脳内で、思ひ出ぽろぽろ現象が起こっている。

 赤の他人と共有するモノ。それが思い出であり、思い出はすぐよみがえる。
 赤の他人と共有する花火。それが思い出になり、思い出はまたよみがえる。
 赤の他人と共有する酒場。それが思い出になり、思い出はまたよみがえる。



 「ゴールデンスランバー」「黄金のまどろみ」

 ぼんやりとしつつも、忘れられない思い出。それが、黄金のまどろみ。ということか?


 僕は、ボクの思い出を思い出しながら、この「思ひ出ぽろぽろ」小説を読みました。
 
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